していました。
ここからはより応用的な話を徐々に進めていくために、具体的な総勘定元帳の記帳の話をじっくりみていこうとと思います。
その触りの話として、「仕訳帳から総勘定元帳への転記」のことについて説明していきましょう。
総勘定元帳の種類
前回の
総勘定元帳への転記(っぽい)の例でも、雰囲気だけで説明していたように、
「なにかの取引が発生したら、まず仕訳をして、その内容を各勘定項目の帳簿ページに転記する」ということで作成される帳簿が、
総勘定元帳 でした。
なので基本的に、仕訳で使った勘定科目があれば、その勘定科目に対応する勘定元帳が存在することになります。 総勘定元帳に付けるべきの勘定科目の一つ一つを
と呼びます。
したがって、どの勘定口座を使って仕訳するかは、その企業によって考え方も色々あると思いますが、総勘定元帳を付ける場合には、
が存在するという原則は変わりません。
この辺、書き漏らすと後々えらいことになりそうですので、日々の仕訳作業で意識的にチェックするのを心がけましょう。
転記の時に思い出したい・『諸口』のこと
以前、単一仕訳の説明を行った回で、
「諸口」 という会計処理につかうマジックワードについて触れました。
この諸口は、どんな勘定科目にも置き換わるけれど、勘定科目ではない特別な項目として利用できるという話をしていましたが、特に今回の総勘定元帳への転記の際には、この諸口が無くてはならないものになります。
なぜ諸口か必要かといえば、総勘定元帳の帳簿は原則として、単一仕訳方式で作成されるからです。
複合仕訳で作成された総勘定元帳というのは通常ありえないので、あらかじめこの諸口の書き方を十分理解しておく必要があります。
仕訳帳から総勘定元帳への転記作業
総勘定元帳は、仕訳帳の内容から各勘定口座へ転記することで作成することができます。
その転記ルールはシンプルで、
+ 各勘定口座ごとに仕訳金額を借方(左側)・貸方(右側)に書き写す
ことだけです。
全ての仕訳を確実に漏らすことなす勘定口座の帳簿に転記してことで、最終的に勘定科目ごとの金額が把握できます。 口座の仕訳金額の増減が分かれば、自ずと残高も計算でき、その事業期間の資産/負債や収益/損失などの経営状態を把握するための重要な資料になります。
手動で転記する
まずは会計ソフトに頼らない体で、頑張ってエクセルでポチポチと打ち込んで記帳するようなスタイルでの転記の話をやってみましょう。
例として以下のような仕訳があったとします。
注意いただきたいのは4/27日は複合仕訳で記帳しています。 複合仕訳のやり方は
で説明していたので不明な点があればそちらをご覧ください。
摘要の内容は、後で見て何の取引だったか思い出せるように記入すれば、さほど詳しく書かなくとも問題ないと思います。
さて、この仕訳で登場している勘定口座は以下があります。
+ 現金
+ 売上
+ 消耗品費
+ 未払金
+ 雑収入
+ 費用
これら全ての勘定口座の帳簿へ、この仕訳帳の内容と同じポジションへ金額を転記していくことになります。 なので、転記自体は借方・貸方の方向さえ注意していれば難しいことは無いと思います。
まずは最初の4月12日の仕訳内容から総勘定元帳へ転記してみます。
なお総勘定元帳の書式には残高項目の有り無しで、
と
「標準式」 の二つがありそうですが、会計ソフトでも残高式表示が採用されているため、本ブログ記事でも残高式に従います。
まずは勘定口座が
の元帳へ記入します。
なお今回は月替りで記帳を切り替える体で転記し、前月繰越はとりあえずゼロとしておきます。 帳簿の記帳ルールでここが「前月」だったり「前期」だったりとページの切り替わりの考え方がそれぞれですが、前の期からの残高がある場合には予め転記しておきます。
次にもう一方の
の元帳にも、
と転記できました。 転記の内容と仕訳帳との関係を図解しますと、
というように2つの勘定口座の元帳と、仕訳帳の内容から相互に結びついているのが分かります。
まずポイントとして各勘定口座の金額を借方・貸方のポジションに合わせて転記します。 金額に間違いが無いことを確認したら、その相手勘定科目と日付を転記します。
転記時のチェック項目は、
の主に3つですので、これらが間違っていないかしっかり確認するだけですので、総勘定元帳の作成自体は簡単な作業だと思います。
ではこの調子で残りもガンガン転記していきます。
4月23日の仕訳を総勘定元帳へ転機します。
4月27日の仕訳を総勘定元帳へ転機します。 こちらは仕訳を複合仕訳で行っていますので、相手勘定科目が
になることに注意してください。 この理由は下のパートで後述しています。
の勘定口座の元帳には既に先に記帳していたものがあるので追記する形になります。
最後に4月29日の仕訳の転記です。
これで手書きで一通りの転記作業が完了です。
今回はあくまでも転記例ですので、実際は仕訳を行ったらその都度総勘定元帳へ転記し、後回しにしないように心がけましょう。
会計ソフトでの転記
さて先程は手書きで総勘定元帳を管理する場合を説明しましたが、
で先程と同じ内容の仕訳を、総勘定元帳へ転記していきます。
実をいうと、
。 なぜかというと、仕訳帳に仕訳入力したら、システムが自動で総勘定元帳を裏でひっそりと作成してくれているからです。
というわけで、先ほどの仕訳内容を入力した後で、システムが作成してくれた総勘定元帳をどうやって確認するかを簡単に説明しましょう。
まずはホームメニューから
等で基本的な仕訳を行います。
なおマネーフォワード クラウド会計での複合仕訳のやり方は
で説明しましたので割愛します。
すると、会計ソフトでは仕訳入力完了時点で既に
にも記帳が済んでいることになります。
確認手順としては、ホームメニューから
を開くと総勘定元帳の閲覧ページに移ります。
そこから上部の検索ボックスで、
のテキスト入力から該当の勘定口座を選択して、
[検索] ボタンを押すことで各勘定口座の元帳が確認できます。
他の現金以外の元帳も、
と当然ながら人の手で行うよりも確実性の高い帳簿が完成しています。
この点で手書きで記帳管理するより断然楽チンなことがお分かりいただけるでしょう。
ちなみに紙に印刷したり・エクセルで編集する場合には、右上にある
ボタンを押すことで、pdfかcsv形式で外部データが出力できます。
取り出したい帳簿データは個別に一つ一つだけでなく、欲しい勘定口座を一括して取り出すこともできます。
以下はPDF形式の出力例ですが、自分でデータを成形して見栄えのよい書類を作らなくてもそのまま印刷するだけで十分すぎる資料として使えそうです。
余談・総勘定元帳に転記しにくい?〜複合仕訳の弱点
以上で取り上げたように、仕訳帳から総勘定元帳への転記を、会計ソフトなどのデジタルな力を借りずに自力で行おうとすると、とても大変な作業になることが分かります。
基本的に会計ソフトの使いこなしは「複合仕訳」ですので、普段から複合仕訳ばっかりに慣れ親しんでいると、とても使い心地がよく勝手にコンピュータが処理してくれるため、あたかも「複合仕訳、最高じゃん」という気になりますが、当然複合仕訳ならではのデメリットも存在します。
先程の例でも感じられたかも知れませんが、複合仕訳ベースの仕訳帳から総勘定元帳へ転記してしまうと、
が多発してしまう問題が発生します。 つまり後で総勘定元帳を眺めてみても、その諸口がなんの取引だったかは、仕訳帳の金額などで合致させながらでないと判別できないことになります。
複合仕訳からの転記が煩雑になる理由として、勘定口座ごとに総勘定元帳へ転記していくときに、取引が一行完結の単一取引であれば、総勘定元帳の勘定科目と相手勘定科目が一対一の関係になるので、このときはすんなりと転記できるので、問題はおこりません。
一方で、一行に複数の取引を詰めて記帳されている項目では、総勘定元帳の勘定科目と相手勘定科目が一対多の関係になり、総勘定元帳への転記にはどうしても、
を相手勘定科目に充てるのが作法になります。
このため複合仕訳では、あとで総勘定元帳を見返したときに、
が相手勘定科目に乱発する帳簿になってしまうことが避けられません。
これに対して、単一仕訳でやっておけば
か身元の判別可能にできるわけで、単一仕訳が好まれる理由が取引の内容をチェックしやすい点にあるとも言えます。 普段の仕訳を紙のノートやテキストファイルで記帳されていくスタイルの方にとっては、仮に複合仕訳方式を採用してしまうと、
仕訳帳から総勘定元帳への転記が非常に複雑 になる可能性がありますので、最初から単一仕訳方式を選択しておくほうが無難かも知れません。
何にせよ、複合仕訳で自前の記帳方法で管理する場合には、摘要のなどもしっかり記入して、補足情報を書き足し、取引が何だったのかトレースしやすくしておく工夫が必要になってきます。
まとめ
今回は総勘定元帳への転記に関して解説してみました。
面倒くさいからといって後でまとめて記帳しようとせず、仕訳したらすぐに総勘定元帳の方にも記帳する癖を日頃から付けておくことも大切ですが、月末になったら一度その月の仕訳内容をチェックして、おかしいところがないか精査する日を設けることも重要かも知れません。
参考サイト
以下は参考にさせていただいたサイトです。
参考サイト:
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