【一人会社の独学経理術】単一仕訳 〜 仕訳にどうしても諸口が使いたい!

目次


「単一仕訳」という単語をご存知でしょうか。 著者は割としばらく

普通の仕訳=単一仕訳

だと思っておりましたが、実はそうでは無いようです。
今回は、その単一仕訳に関してちょっとだけ詳しく解説してみます。

『諸口』は勘定科目?


会計ソフトを利用していると、

「諸口(しょくち)」

という勘定科目として使える耳慣れない簿記用語があります。
「諸」とは、その他諸々で使うときと同じ意味で、いろいろなものを指し、「口」は取引の相手口座のことです。
ちなみにここでの口座は、銀行口座という意味ではなく、「勘定口座」らしいです。 総勘定元帳の勘定一つ一つを「勘定口座」と呼んでいます。
その辺の詳しいことは後日、仕訳帳から総勘定元帳への転記の特集するときに解説してみます。
とりあえず、諸口とは、仕訳の際に「いろいろな相手勘定口座」があったことを意味しています。
つまるところ、一つ貸方(借方)勘定科目に対して複数の借方(貸方)勘定科目が存在するときに使うのが、この諸口という勘定科目のようです。
実は正確には、諸口は勘定科目ではなく、未確定勘定を表す特別なカテゴリーのようです。 あくまでも便宜上、取引の記帳を一行で収める(=「単一仕訳」)ためのテクニックで用いられるので、最終的に諸口の実体がどんな勘定科目だったのかを分かるようにしないといけないことに注意してください。
ではこの諸口の使いどころを以降で解説していきます。

例題〜諸口を使った単一仕訳


ではここからは諸口を使った仕訳が、「単一仕訳」と呼ばれる所以を具体例をもって紐解いていきましょう。
以前に

預金出納帳の書き方

で使った際の仕訳の内容で、以下のようにAくんのお買い物のケースを考えたことがありました。

5月28日 Aくんは15000円のスニーカーを購入のため、代金を銀行振込で支払った。

なお振込手数料が300円かかった。

この場合、Aくんの銀行口座から販売先の銀行口座へ直接商品代金が移動しているケースです。
スニーカーという本体価格とは別途、振込手数料がかかっているのですが、引き落としの合計金額としては15300円であり、銀行通帳で記帳する際にはこれらの価格の内訳は区別されません。
早速これを単一仕訳で仕訳を行うと、以下のようになります。


この場合、まず銀行口座から15300円が振込で減っているので、貸方に15300円を付けます。
この貸方の金額には、複数の借方勘定科目がひっついていますので、仕訳を一行で済ませることが出来ません。
ということで、一行で仕訳が収まるように、「諸口」を借方勘定科目へいれるのです。
諸口を使うことで一行で済ますことができるため、これを「単一仕訳」と呼びます。
単一仕訳を行う上での注意点として、諸口は正式な勘定科目にはなりえないので、諸口以降の行で、諸口が具体的に何に使われた費用だったのか対応する内容を個別に仕分けする必要があります。
それが上の例だと、後の2行で、「消耗品費(スニーカー)」と「支払手数料」のそれぞれの取引を相手勘定科目を諸口として記録しておきます。
ちなみにもし後日、銀行通帳に、代金の商品金額と振込手数料の金額が別々になっている場合には、諸口を使った単一仕訳をする必要はないので、以下に戻します。


あくまでも単一仕訳は会計処理時に帳簿を見やすくさせるテクニックですので、諸口を強制させられる訳ではないため、個人で見やすいと思った場合に任意で使うことができます。

クラウド会計上の単一仕訳


ここからは、

マネーフォワード クラウド会計

を例にとって、諸口を使った仕訳の行い方を見ていきます。


公式のQ&Aリファレンスは

ここ

を参考にしています。
デフォルトでは諸口は勘定科目として利用出来ない設定になっていますので、システムに諸口を設定します。


まず、

[各種設定] > [勘定科目]

から勘定科目の設定ページに移動します。
そのページの一番下に、

[決算書科目追加]

ボタンがあるのでこれを押すと、追加用のダイアログが出てくるので、ここで、新しく諸口の項目を上の図で示した内容で新規登録します。
すると、勘定科目の諸口のカテゴリーに決算書科目として、「諸口」が使えるようにすることが出来ます。
では、諸口が使えるかを適当な仕訳で試してみます。
以下のように仕訳帳で、勘定科目の欄を選択すると、用語の候補の中に、「諸口」が現れていたら成功です。


あとはいつものように一行毎に取引を追加していくと、マネーフォワードでも単一仕訳ができるようになりました。

単一仕訳の落とし穴


単一仕訳を使った記帳方法は、ノートで手書きする場合、書き込む項目を上下に行ったり来たりして修正がしにくいときや、かなりたくさんの勘定科目を小さい欄に書き込むのは辛いときなど、一行一行追加していくスタイルがやりやすかった時代には有難かったのかも知れません。
ですが、今日日、会計ソフトを使うと、どんなに沢山の勘定科目を一つにまとめた取引であっても、複合仕訳を使うと簡単に一行で取引をまとめることができます。 (※複合仕訳はまた別の記事で特集します。)
なので、会計ソフトを使う場合、単一仕訳は基本非推奨ですし、そのため「諸口」の項目がデフォルトでは使えないように除外してあります。
そして、特にマネーフォワード クラウド会計の無償版では、無償版の制限として、

「年間仕訳50件」

という条件があります。
さきほどの仕訳の例でいうと、複合仕訳だと1行で済むのに、単一仕訳を使うと5行も使ってしまったではありませんか...
折角の無償版なのに、単一仕訳をしてしまうと、すぐに50件の取引なんて埋まってしまうことでしょう。
ということで、余程の理由がない限りは、必ず

複合仕訳

を使いましょう。

参考サイト


以下は参考にさせていただいたサイト等です。
参考:

諸口(しょくち)とは?諸口を使うケースと諸口を使った帳簿の付け方


参考:

マネーフォワード クラウド会計 - 仕訳登録の際、「諸口」を使用して仕訳を登録したい場合、どうすればよいでしょうか?