事業年度が終わり、決算日をすぎると速やかに「決算資料」を作成し、税務署・都道府県税金事務所・市町村の各税務課に必要書類別に提出し、前期の事業年度で確定した税金を収める必要があります。
今回は前期の総勘定元帳の記入が終わり、税金の計算が可能となった上で、役所に提出するための必要書類作りを簡単に解説してみます。
決算日前後の大まかな経理作業の日程
決算日前とその後でだいたいの日程は以下に示した図のようになります。
なお、ここでの決算日は一人会社の創立時に決めた事業年度の期末日を指していますので、会社によっていつになるかは異なってきますが、だいたいはこの流れで決算作業を進めることになるでしょう。
決算日の
くらい前に、会社の固定資産を調査するために棚卸しなど実施します。
また、事業所に現金などを保管している場合は金種表も作成します。
決算日を経てから
ぐらいまでを目処に会計ソフト等々で決算処理を行い、前事業年度の法人税等を確定させておき、税務署などに提出義務のある決算書類などを作成する期間にあてます。
この書類をもって、期末日から
に各担当の役所に提出と、確定した法人税等を納付するようにします。
また一人会社であっても株式会社ではかならず株主総会を実施するという過程が追加されますが、合同会社は株主総会が存在しないため、だいたいこのスケジュールで決算処理が完結することになり、とてもスムーズです。
決算書類の作成
まず先んじて作成すべきは、
① 貸借対照表
② 損益計算書
③ 株主(社員)資本等変動計算書
④ 個別注記表
の4種となります。
通常会計ソフトで日々経理作業を進めていけば、この4つの書類はエクスポート機能によっていつでも好きなタイミングで出力できます。
もし手書きの帳簿やエクセルシートで会計管理をされているのであれば、これらの書類をまとめて作成するのはすこぶる大変な作業になるでしょう。 しかも一人会社であれば、実質内容の金額を計算したダブルチェックなどができないので、もし書類提出後に書面上の数字に誤りがあれば、罰金などの痛々しい税務上のペナルティが待ち受けております。
一人で会社設立を思い立つのではあれば、最初から会計ソフトを導入して決算に臨むべきでしょう。
話を元に戻すと、この4つの決算書類を作成した上で、税務署提出用の申請書類として基礎的な
別表一(一): 法人税・地方法人税の計算
別表一(一)次葉: 法人税・地方法人税の計算
別表四: 所得の計算
別表五(一): 税金上のB/S
別表五(二): 租税公課の納付状況
別表十五: 交際費等の損金算入に関する明細書
別表十六(七): 経費に関する資産の明細
適用額明細書: 税法の適用
第27-1号(2号)様式: 消費税の計算(※年度売上1000万円以上の場合)
を揃えて提出する必要があります。 (場合によっては他の別表を追加して申請する必要もあります。)
法人の所在地の都道府県の税事務局へ法人税を申請・納付する際には、
第六号様式: 都民税・事業税・地方法人特別税
を記入する必要があります。 これは該当の各都道府県のウェブサイトで申請書のソフトコピーをダウンロードして利用できると思います。
また法人所在地の区市町村の役場税務課にも法人区市町村民税を納めることも忘れてはいけません。 これも各役場のウェブサイトから申請書のフォーマットをダウンロードして利用することができます。
第20号様式: 法人区市町村民税
eTax/eLTaxの活用
かつては公的な書類なので、予約をとったりして直接役場の窓口に赴いて書類を提出する方法しかなかったのですが、ここ最近になってお役所もDX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗って、電子申請サービスの積極活用が求められることも多くなってきました。
さらに図らずしも新型コロナによるパンデミックとも重なってしまい、人との接触を可能な限り避ける意味合いでも、ウェブサービスを可能な限り利用することが強く求められており、先程作成した決算書類等を
という2つのサービスから電子申請できるようになっています。
大企業などの規模の大きな法人では既に電子申請サービスを利用することが義務化されているので、遅かれ早かれこの公的なウェブサービスを利用することになるでしょう。
法人の国税関連をまとめた
の設定方法に関しては以下の記事にまとめております。
また法人地方税のほうはeTaxとは別に
というサービスを利用します。
まとめ
今回は決算書類の作成と申請にまつわる大まかな概要を確認するだけのでした。
各書類の具体的な記入法や記入の際のポイントなどは今後個別の記事で紹介できればと思っています。